パディス・デイ・パレード そのに。

今年は日曜日が15日だったので、
先にも書いたように港町のパレードに行ったけれど
パディス・デイの当日は3月17日、火曜日。
どちらかというと、この日が本番です。



火曜日だけれど、アイルランドではパディス・デイは祝祭日。
まずは地元・島町のパレードが、この祝日のスタートを切ります。
島町のパレードは毎年必ず、3月17日の朝11時。
その後、近隣の村々でも少しずつ時間をずらして、
その村らしいテーマと雰囲気をもったパレードが行われるのでした。




私は毎年、17日当日には、
西海岸にあるD村のパブで演奏させてもらっています。
昔から大好きだったテリーという蛇腹奏者が、
必ず演奏するパブがあって
毎年、「今年も一緒にやろう」と
テキストを送ってきてくれるからです。



この島にいると、細くても確かな人とのつながりが
どれだけ大切でありがたいことか、
思い知らされることがよくあるけど
この人とのつながりも、そんな、失いたくないもののひとつ。



そんなわけで、夕方からの演奏の前に
D村のパレードと海岸線を堪能してきました。




今年のD村パレードのテーマは、「百年前のバレン」。



どんなバレンが百年前なんだろうと、
あれこれ想像しながら待っていたら、
いきなり頭上に巨岩を頂いた車がやってきました。



なるほどバレンですね。
もしかしたら一万年前のバレンかもしれないけれど。(笑)




それからボート。というか、これはカラハという
この地域独特の形と製法でできた小舟ですね。
今日だけは特別に、車輪つきでやって来ました。A^^;



アラン諸島まで軽く往復するくらい、
なんでもないことだったと言われている、
軽くて丈夫な、手作りの舟です。




次はロバに乗ったミルク・マン。ああ、これいいなー。(^^)
ポストマンと同じく、こうしてミルクを配達する人が、
わずか百年前には、まだいたのですね。




その後からやってきたのは、
トラクターに乗ったミルク・マン。(^^;)
百年前にトラクターに乗ったミルク・マンがいたのかどうかは
さすがに誰も教えてくれなかったけれど。




あとのほうになると、だんだんテーマも崩れてきて、
明らかにパブの宣伝、いやいや協賛と思われる、
パブの名前を大書した車も登場します。




百年前から、このパブはD村にあったということなのかしらん?



まあ、こんな風に、だんだん境目があいまいになって
最終的にはみんなで、わーっと笑ってしまうのが、
この島のいいところなんですよね。(^^)




お天気もよかったので、ついでに、
海まで散歩にも行ってきました。




D村は、数年前まで、
びっくりするくらい何もない、小さな村でした。
確かにパブはあったし、お土産屋さんも2〜3軒あったけど、
あとは本当に、ペットボトルのジュースさえ
買えないような場所だったのです。



でも、ここ数年で驚くほど観光開発が進んで
大きいホテルやおしゃれなカフェが、次々オープンしています。



それはそれで感慨深いものがあるけれど
やっぱりこの村の魅力は、
なぜか、どこか、人を不安な気持ちにさせる、アランを抱く西の海と
岩だらけの海岸線と海風、そして、
その空気と一体に溶け合う、根強い音楽の伝統。
だと思うのでした。



うまく説明できないのがくやしいのだけれど、
D村の音楽は、どこかほかの西クレアと違う。
景色や風や海や土に、
不思議なくらい分かちがたく馴染んでいるのです。



それは、まさにこんな感じ。




そしてこんな感じ。




なにか、不思議な微動のようなものがあって
この村で楽器を弾いていると、
そのまま、この土地と風景に擂りこまれていきそうになる。。。



そんな場所で、毎年演奏させてもらう、
よりによってパディス・デイ。
今ここにいられることに感謝。です。(^^)