英国って、そんなに偉いのか?

所用でロンドンに来ています。――と、前回は書きました。
確かに所用があってロンドンにいるのです。



その「所用」というのは、
実は、某研究所のサマー・セミナーに参加すること。



基本的に、イングランドないしヨーロッパ在住の日本人、または
イングランドに興味があってやってきた日本からの参加者、が
コースの主な構成員なので、
同好の士として友だちもできそうだし、基本的に楽しいのですが
ひとつだけ問題がありました。ビザです。(- -;)



今年の5月から、また一段とビザの審査が厳しくなったイングランド。
EU圏以外の国(もちろん日本も含む)からイングランドへやってきて
たとえ短期間なりとも学校に通う、という人は
「短期学生ビザ」というものを、必ずとらなければならない。
大学であれ語学学校であれ、観光ビザで通ってはいけない。
と、厳格に決められているのでした。



この短期学生ビザの取得自体はそれほど大変ではなく、
入国審査の際、必要書類を提示して
「短期学生ビザでお願いします」といえば
観光ビザに毛がはえたようなスタンプを、ぽんと押してくれます。
長期の場合はもうちょっと複雑らしいけど、
短期のコースならこれで十分。



私にしては珍しく、
事前にアイルランドのイミグレーションにも確認しました。



「そりゃあ、イングランドの空港で、
 入国審査をするときに申請しなさい。
 あそこは別の国だし、入国管理システムも違う。
 キミは英国のコースに応募して、
 授業料の領収書も英国のものなんだから
 あとのことはヒースロー空港で訊きなさい。」



御説の通り、ごもっとも。
と、普通にアイルランドを離れた私。





ところがどっこい、ふたを開けてみたら
ヒースロー空港では、アイルランド便はすべて国内線扱い。
もちろん入国審査もなく、するっと英国内に入れてしまったのです。




あれっ?? と立ち止まって、一瞬呆然。
すぐそこがバス乗り場です。ああーやっぱり入国審査がない。



あわてて空港内の専用電話から、入国管理局に問い合わせてみると
なんとアイルランド国内にいた時点で、
その人物は英国内にいたと見なされるそうで、今から入国審査は無理。
「ロンドン市内のボーダー・エージェンシーに行きなさい」
との答えが返ってきました。



うわーー、嫌な予感、的中です。




仕方ないので一夜明けた翌朝、
クロイドンにある、ボーダー・エージェンシーに行ってきました。



でも、そこで返ってきた答えは
「短期学生ビザは国境の入国審査で発行するもの。
国内に入ってきてしまったら、もう出すわけにはいかない」
というものだったのです。



「アイルランドに帰って、英国大使館にビザの申請をして、
取得してから入りなおして来なさい。それしか方法はありません。」



――って言われても。A^^;



まあ、こうなるかもしれないということくらい、
最初から予想しておくべきだったのかもしれません。
でも、それでもつい、こぶしを固めて思ってしまう。
なんでこういうときに、いつも自由民が負担を強いられるんだー!



すったもんだの挙句、
とにかく最短時間で書式を整えられる道をとることが
研究所との間で協議され、
その日のうちにフランスへ往復してくることが決まりました。



フランス−イングランド間はユーロスターが走っているので
2時間ほどで大陸に渡ることが出来、
しかも改札口には、
パスポート・コントロールが厳格に横たわっているのです。



そういう窓口がひとつ、アイルランドとの間にあれば
今回の私はずいぶん助かったことになるんですけど
この2カ国間にパスポート・コントロールがないことで
よくも悪くも複雑な思いをしている人は、
世の中にたくさんいるんだろうなと思うのでした。




微妙に諦めモードで学校からフランスへ直行する(笑)という私に、
わずか2日前に知り合ったばかりの、クラスメートのみなさんが、
本当に優しかったので、感謝の気持ちもまたひとしおでした。



かばんに入っていたバナナやチョコレート・バーを分けてくれたり、
ロンドンに不案内な私のために、
セント・パンクラスの駅まで送ってくれたり。
あやみさん、ユタカさん、じゅんこさん、
みんなどうもありがとう!




そんなわけで、ロンドン―パリ往復、1泊2日、
所要時間12時間の弾丸ツアーに行ってきます。



乞うご期待。





でもほんと、英国のエージェンシーって感じ悪い。(笑)