今年の暖炉は10月でした。

今日、暖炉に、今年初めての火を入れました。



長い冬を越えなければならない地方の人々が
火を家の中に持ち込むのは、
やはりそれなりの理由がありますよね。



なんといっても、暖かいし、ほっとする。
火を起こし、その灯りと熱を体の一方に感じながら座っていると
外が寒いのも、雨が降るのも、道が凍るのも、暗い時間が伸びるのも、
まあそんなもんだよね、と
達観できるような安心感が生まれてきます。





去年の日記を見たら、
暖炉に最初の火を入れたのは9月の第1週でした。
今年は10月の第1週。4週間も違うということは、
やはり今年の夏はいい気候だったんですね。



今日から冬です。




マルメロ村のこの家では、暖炉にくべる燃料には石炭を使っています。





石炭はやはり高いので、敬遠する人たちもいますけれど
なんといっても火力が強いし長持ちするので
最初にたっぷりくべておけば、途中で注ぎ足したりする必要もなく、
大きめの居間を、一晩中ほかほかに保っておくことができる、
とても効率のいい優れものです。



「黒ダイヤ」と言われるだけあって、よく見るとキラキラと
黒と銀の深い輝きを放っているのも、石炭の不思議な魅力。



もちろん、くっきりと土の匂いがするターフを焚くのも、
私は好きです。
煙はいっぱい出るけれど、いかにもアイルランドという感じだし。
林から薪を切り出して使うのも、なかなか幸せな気分になれます。
木のはぜる音、香ばしい匂い、楽しそうに翻る火の姿が、
一晩中続くから。



でも、きっと今年の冬は、
石炭の燃える匂いに包まれて暮らすことになるでしょう。



あんなに暑かった(らしい)東京は、いまどんな気候なのかなあ。
暑さ寒さも彼岸まで――とは言うけれど。



十月神無月。どうか日本のみなさんにきれいな秋が訪れますよう。