アイルランドの庭。

ウィックローに行ってきました。





首都ダブリンでまた用事がありまして
(なんか今年はよく行くなあ)、
いつもならフィドラー・きょうちゃんの家に泊めてもらうのだけれど
たまたまその日は、きょうちゃんの都合がつかなかったのです。



きょうちゃんも、栄養士さんの卵ですからねー。(^^)
仕事に趣味に学問に、忙しい!




それで、ものは試し、
ダブリンから程近いウィックローのブレイに住んでいる
友人のコーラ(コンサーティーナ弾き)に連絡してみたら
2つ返事でOK。



仕事終了時、ダブリンまで車で広いに来てくれる。
夜はセッション、翌日は車でウィックロー観光という、
至れり尽くせりの企画つきで、2晩泊めてくれることになりました。



いやあ…友だちって本当にありがたいですね。(T T)




ウィックローは、ダブリンから電車も通じていて、
わりとかんたんに行ける距離にはあるのだけれど
海と山がきれいで、首都に近いわりには落ち着いた静かな雰囲気、
ちょうど鎌倉のような位置づけにあります。



一部が高級住宅地(別荘も含む)になっていて
有名芸能人が住んでいたりするあたりも、なんか似てるし。f^^;





ブレイの港は、ダブリン湾に向って開けていて
海水の上に白鳥とカモメが同時に遊ぶという、
ほかではなかなかお目にかかれない風景が
ほほえましく広がっています。





そのダブリン湾も、高台から見下ろせばこんな感じ。
遠くのほうにかすかに見える山並みが
ウィックローのシンボル、シュガー・ローフ。



お天気もよく、風も気持ちよく、おしゃべりもまた楽しく、
車でなければ来られない道を走りながら、
二人して春の訪れを満喫しました。




途中、コーラが、なんだか古く見える石造りの塔を指して





「ほら、あれがジェイムスの家の塔よ」と、さらっと言いました。



…ジェイムス…?



まるで知っていて当然といわんばかりの、
その口ぶりに誰とも訊けず、
かといって共通の知り合いに
1人のジェイムスも思い出すことができず、
「あ、ああ、そうなんだ、ふーん。
…と、塔のある家なんてすごいね?」



「彼は本当にあの塔が大好きで、いつもあそこから海を見ていたのよ」
「へえー、いいねえ、そういう暮らし。
 えーと、ジェイムス…、うーん、楽器はなんだっけ、フィドル?」



バカなことを訊いたものでございます。
「あんたね、ブレイに来てジェイムスって言ったら、
 ジェイムス・ジョイスに決まってるでしょ!!」



叱られ、かつ爆笑されてしまいました。
だってー、そんな、知り合いみたいに言うから…。



「ブレイの人間にとっては、
 彼はいつまでも友だちみたいなものよ。
 誰にとってもジェイムスはジェイムスなの。」



なるほどねー。




ウィックローは、「アイルランドの庭」と言われるだけあって
景色も変化に富んでいて、自然も豊かです。





カーブをひとつ曲がるたびに、雰囲気の違った風景が次々に現れ、
コネマラやキラーニーの広大さとはまた違いながらも
決して退屈しない、東海岸のさまざまな表情を楽しむことができます。




ラグビー・ファンのコーラの強い要望で、
ラグビーの試合が始まると同時にパブへ入り、ビール片手に応援合戦。





スポーツ観戦の一体感というのは、私にとって
いまだにどうもよく理解できないもののひとつなのですが
こんなふうにパブで
何十人もが一緒に歓声を上げたりブーイングしたり
「C'mon, get there, quick, look, oh c'mon guys, yeah!!」
とか、好き勝手に叫んだりしている只中にいると
ルールなんかわからなくても
それなりに楽しくなってくるから不思議です。



試合終了後は、ロングビーチをゆっくりとお散歩。





いつも、海に沈んでいく夕日を見慣れていただけに、
海に向って長い影が伸びるという、
東海岸の日没がなんだか新鮮で
思いのほか遠くへ来たような気分になれた一日でした。