デール・ラス・ワークショップ in 金束。

デールさんのコンサートが飯田橋であったのが、13日金曜日。



翌14日土曜日に、千葉県は金束という山中の山小屋で、
デールとフィンによるワークショップがあったので、
シャン・ノース・ダンスのコニタンと2人して、
お手伝いしてきました。




ちなみに、コニタンとの集合は
「12時に東京駅八重洲口」だったので
その前に、ケープブレトン系フィドラーのナカジマくんと、
無理矢理だとは知りつつ朝の10時に待ち合わせをして、
少しだけ、朝の路上バスキングもやりました。(笑)




ナカジマくんも、人柄といい音楽性といい、
天下一品のフィドラーです。
それに私にとっては、音楽に対して同じスタンスで向き合い、
同じものを求めている人間同士、と感じあえる、
とても貴重な仲間なのです。



なんというか、彼の音楽はいつも、
不思議なほど自然な音がする。



しかも、彼と演奏していると、すごく息が合うんですね。
演奏が進むにつれて、お互いの音が、どんどん深く複雑に、
絡まりあってひとつになっていくのが見えるわけです。
もう、気持ちいいのなんの!



今回、ちゃんと一緒に演奏する機会が作れなかったのは
すごく残念だったなあ。
でも、午前中のわずか30分、
しかも道端というシチュエイションだったにも関わらず
彼と一緒に音を出すだけで、
これだけ充実感を得られるんだから、本当にすごい。



次に帰国するときには、どこかで一緒にライブをやろう!
と固く誓い合ったのでした。





さて金束です。
…みなさん金束ってどこだか知っていますか。(笑)



地図を見ると、場所は房総半島のほぼ真ん中。
遠い。というか、明らかに、東京からは行きづらい。
交通手段がないのです。



でも、辿り着いてみた会場は、
そんな道中を一瞬にして忘れさせるほど
深い森の中に、ゆったりと頼もしく
林間学校を思わせる健全さと落ち着きで、建っていました。





デールはここで、アイルランド伝統音楽のあらましと、
それが新大陸アメリカに伝わり、そこで育まれてきた経緯、
音楽の種類やリズムの違い、
ダンスとのつながりや演奏方法などについて
かなり詳しいレクチャーと実演を行いました。



フジムラさんのご配慮で、ほんとうに幸いなことに
私はこのレクチャーを通訳させてもらったのだけれど
知らないことがたくさんあって、
何度もびっくりしたし、とても楽しかった。
すごくいい経験をさせてもらいました。



デールの知識の豊富なこと、
フィンのウィットに富んだ合いの手。
会場の配置が自然で、参加者の顔が近く、
レクチャーなのに、全体をつつむ一体感があるのです。



そして間近で聞くデールさんの演奏、
コンサートとはまた違ったすばらしさ。





そうそう、このレクチャーのもうひとつの目玉は
シャン・ノースのコニタンが、
そのダンスを披露してくれたことです。



「これがシャン・ノース」というカテゴリーの中心が、
あるようでないようなアイルランドのシャン・ノース・ダンスは、
それゆえに、誰にでも自分のスタイルを作れるように見えて
でもその雰囲気を作るのが難しいダンスです。



ステップを正しく踏めばそれでいい、というわけにはいかないし
かといって崩しすぎたら、
それはただ足を踏み鳴らしているにすぎないし。



そんな微妙なカテゴリーの中で、
コニタンのダンスはなかなかバランスがいいのです。
全体に無駄な力が抜けていて、コケティッシュな魅力があって。



ほかの種類のダンスでは表現できないだろうものが、
彼のダンスからは伝わってきます。
たぶん、それを伝えられるようになるということが、
数ある身体表現の中から、
ひとつのスタイルを選び取ることの
最初の意味ではないかと思うのです。




金束の森で、一流の音楽、いいダンサー、そして熱心な聴衆。



採算があっていたかどうかは、
あまり定かではありません。A^^;
たぶん主催者がフジムラさんじゃなかったら、
実現しなかった企画でしょう。




だからこそ、一夜限りの、一期一会の、夢のような時間。



みなさんありがとうございました。