CDラウンチに行ってきました。

いま、「クレアの若手ミュージシャン」の名前を挙げろ、
と言われたら
まず間違いなく5人以内にリストアップされる、
コンサーティーナ奏者のヒュー・ヒーリーと
イーリアン・パイプス奏者のマイケル・“ブラッキー”・オコンネル。



この2人が組んで出したCDのラウンチが
島町のオールド・グラウンド・ホテルであったので行ってきました。





おりしもTVでは、
サッカー・ワールドカップの予選最終戦を放送中。



日本代表がデンマークと対戦して、
決勝トーナメント進出を決めるかどうか…という局面だったので、
会場に来るなりヒューに、
「お前、こんなところに来てていいのか? 
 サッカー日本チームを応援しに行かないのか?」
と、驚かれてしまいました。(^^;)




さて、CDのタイトルは
"We were drinking and kissing the ladies"
実に彼ららしいタイトルですな。



実際に飲んで女の子にキスしまくるかどうか、ということではなくて
こんなタイトルのtuneを見つけて、
それをCDのタイトルにしてしまうような姿勢が
彼らのスタイルにぴったり嵌っていて笑えます。



2人とも、非常に音量がでかくてアグレッシブなモダン・プレイヤー、
というイメージがあるのですが(少なくとも私はそう思う)、
今回のアルバムに収録されているのは、
どれも、クレアの古いtuneたち。



今回はクレアに残っている古いtuneを使ってアルバムを作ろう、
という基本方針をまず決めて、
そこから選曲をスタートさせたのだそうです。
キルフェノーラ・ケイリー・バンドのライブラリアンに頼んで、
バンド所蔵の古ーい手書きの楽譜集まで見せてもらって選んだとか。



表題の"We were drinking....."という曲も、
最近の男の子が遊んでつけた新曲のタイトルかと思いきや、
ウイリー・クランシーが70年代に録音している古いジグのひとつ。



1910年〜20年代の録音からも拾ってきたということですから
その思い入れの深さが知れますね。



そして、これだけ古いtuneで埋め尽くされているにも関わらず、
CD全体のイメージは、ヒュー&ブラッキーらしく、
きわめてモダン!



伴奏で参加しているミュージシャンも、
ヒューの弟コルム・ヒーリーをはじめ、
シリル・オドノヒュー、パドリック・オライリー、
リッチー・ライヨンズと、
新しいスタイル開拓系の、野心あふれる男たちばかりです。





いやあ、おもしろいCDラウンチでした。
楽しかったし、次にどんな曲が始まるかわくわくしました。




たぶんこれが、今現在、クレアで、というか島町で
実際に起こっていること。
現在形のトラッドなんだな。と改めて思いました。



日本にいると、アイルランドはいまでも、そしていつまでも、
緑あふれる古き良き大田舎で、
おじいさんおばあさんの代から伝わる古い伝統を大切に守り、
のんびり、ほのぼの、にこにこと
羊を追って暮らしているようなイメージになってしまうけれど、
そして音楽もまたそういうものだと思われがちだけれど、
でも、必ずしもそればかりではないのです。



彼らは、来週のウイリー・クランシー・ウィーク期間内にも
ミルタウン・マルベイ周辺でCDラウンチをやるそうです。



渡愛をご予定の方は、ぜひ足をお運びくださいまし。